脳。水槽。肉体。

2023-01-01から1年間の記事一覧

marriage

予定がなくなるのは嬉しい。 いつからか、おれの人生は、おれの望みとは無関係な予定で埋め尽くされるようになった。 おれの悪癖。 いつか王子様が現れて、おれをこの生活から救い出してくれるという夢想。 中学生くらいから始まったこの夢想は、今もなおお…

三島由紀夫「海と夕焼」

三島由紀夫の「海と夕焼」を読んだ。素晴らしい作品だった。 少年(少女)の時分、自分の人生には何か素晴らしいことが訪れるんじゃないか、そういう「奇蹟」の到来を半ば確信的に予感した人は多いのだろうか。少なくとも自分はそうだった。 それは自我の発…

父性について思うこと

父性の衰弱が昨今の病的な社会の原因だという言説を何処かで目にしたことがあるが、これはまあ当たっていると思う。 三島由紀夫の病根には、父性の不在があったと感じる。 だからこそ三島由紀夫は、蓮田善明や稲垣足穂になき父親の姿を探すのだが、三島由紀…

革命なき世界で

三島由紀夫と芥正彦の討論を見て、寂しさを感じた。 芥正彦が三島由紀夫をデマゴーゴス(扇動家)としきりに揶揄して、これからの時代には街頭ブランキストやトロツキストのような連中が現れるようになると警鐘を鳴らしているのだが、結局それらは全然現れな…

少年①

おれの考える完璧な美少年というのが存在したとして、それは完璧な簒奪者であるだろう。 エロス的にのみ世界と関係し、自分の外のあらゆるものを失格させる。そんなことが可能な存在を、おれは完璧な美少年と考えているからである。 おれは美というものを、…

おれたちは物語の中を生きてるんだ。 おれは拳銃を持ってる。お前も拳銃を持ってる。 拳銃は、必ず発射されなくちゃいけない。