脳。水槽。肉体。

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

三島由紀夫「海と夕焼」

三島由紀夫の「海と夕焼」を読んだ。素晴らしい作品だった。 少年(少女)の時分、自分の人生には何か素晴らしいことが訪れるんじゃないか、そういう「奇蹟」の到来を半ば確信的に予感した人は多いのだろうか。少なくとも自分はそうだった。 それは自我の発…

父性について思うこと

父性の衰弱が昨今の病的な社会の原因だという言説を何処かで目にしたことがあるが、これはまあ当たっていると思う。 三島由紀夫の病根には、父性の不在があったと感じる。 だからこそ三島由紀夫は、蓮田善明や稲垣足穂になき父親の姿を探すのだが、三島由紀…

革命なき世界で

三島由紀夫と芥正彦の討論を見て、寂しさを感じた。 芥正彦が三島由紀夫をデマゴーゴス(扇動家)としきりに揶揄して、これからの時代には街頭ブランキストやトロツキストのような連中が現れるようになると警鐘を鳴らしているのだが、結局それらは全然現れな…